お盆休みは皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルス感染症による世の中の混乱がいまだに収まりません。
昔の話ですが日本でもポリオがしばしば流行していました。流行期には小児に罹患することが多く、特徴的な症状として急性弛緩性麻痺があり、医学用語ではありませんが「小児麻痺」ともよばれます。
1960年は北海道で多くの患者が認められ、その後全国的な大流行となりました。当時、国内に承認ワクチンはなく、海外で開発直後であったため、ワクチン導入を含めたポリオ対策は国全体を巻き込んだ議論になったようです。1961年不活化ポリオワクチンが輸入されましたが十分な量ではなく、一刻も早い予防手段が望まれました。同年春には九州で流行が始まり、NHKでは4月から連日「ポリオ患者発生者数即日集計」が全国放送されたようです。
そのころソビエト連邦(現在のロシア)から経口生ポリオワクチン(OPV)の有効性が報告されました。子どもを守りたい母親らが中心となりOPVの早期導入を求めて厚生省(現在の厚生労働省)に押し寄せました。世論はOPV緊急導入に積極的になり、1961年6月21日夕方、古井厚生大臣による「(OPV導入に関する)責任はすべて私にある」との談話とともに、1300万人分のOPVが緊急輸入決定が発表されました。6月26日、全国で最も流行していた九州でOPVの投与が始まりました。7月21日は全国の小児を対象に国内一斉投与が開始されました。500万に程度のOPV内服が済んだと推計される7月末ころから患者発生が減少傾向に転じました。その後、1964年から国産OPVによる定期接種が実施され、我が国で再びポリオが流行することはありませんでした。
ポリオウイルスに対して特異的な治療法は存在しません。対症療法・支持療法が中心になります。
新型コロナウイルスは次から次へと感染力をもった変異株が出現し、ポリオウイルスのようにワクチンによる流行の終息は困難ではありますが、今一度ワクチンの大切さを考えてみてはいかがでしょうか。