今回は、メニエール病の疫学と生活指導について書きたいと思います。
メニエール病の全国調査は以前より行われており、性別は1960年までは男性に多く、1976年~1976年の調査では男女同数となり、1982以降の調査では女性が多く、全体の6割を占めています。発症の背景因子では1)既婚者の割合が多く2)職業分布は専門技術職に多く3)几帳面で神経質な性格4)発症の時間帯は早朝から夕方に多く、夜間は少ない5)発症の誘因としてストレス、過労、睡眠不足が多いと報告されています。ストレスの原因としては職場での人間関係、離職や転職、家庭内不和、家族の病気や介護などがあり、複数が重なっている場合もみられます。
メニエール病の生活指導はストレスの原因を可能な限り避けること、規則正しい生活、睡眠不足の解消、過労を避けることが大切になってきます。ストレスを回避することは容易ではなく、自分の性格や行動は簡単に変えられるものではありません。そのため自分のプラスになるような趣味などの楽しみをみつけることができればストレスを感じている時間も短くなります。几帳面、完璧主義者が多いため頑張りすぎないことも大切です。ウオーキングや水泳などの適当な運動も有用です。
メニエール病の発症に気圧変化が関与する場合があります。気象に関しても寒冷前線通過時や低気圧の影響で発症しやすいとの報告もあります。そのため生活指導によりストレスが軽減している時期であっても気圧や気象の変化でメニエール病発作がおこることがあります。
メニエール病の好発年齢は30~50歳台ですが、60歳以上の新規発症患者もメニエール病全体の3割を占めていたとの最近の報告もあり、超高齢化社会を迎える本邦では高齢者のメニエール病患者が増加する可能性があります。
文章では生活指導も簡単に書けますが実際は思うようにいかない場合もあります。少しでもメニエール病発作の頻度を下げ日常生活への影響を小さくしていくかが大切になります。