外耳湿疹

2022年8月18日

湿疹は皮膚科日常診療の約3分の1を占めると言われています。耳科領域ではかゆみを主症状とする慢性病態を外耳湿疹と呼称することが多いです。今回は外耳湿疹について書きたいと思います。

湿疹を形成する因子として外耳道は耳かきによる外傷、中耳炎の耳漏や治療薬剤、細菌や真菌、シャンプー、洗髪や水泳などの湿潤などによる外的因子があり、皮脂分泌腺、アレルギー素因、発汗状態などの内的因子が挙げられます。

耳のかゆみはアレルギー性鼻炎や口腔アレルギー症候群などでも、のどから耳に放散するかゆみとして自覚されることがあります。余談ですが舌下免疫療法でも耳のかゆみを自覚することがあります。

外耳道の表面は皮膚で覆われており、特異的な自浄作用があります。自浄作用により、鼓膜・外耳道の角化物が外耳道入口部方向に排泄されます。耳垢は外耳道外側3分の1で形成されるため、外耳道深部の耳掃除の必要はありません。頻回の耳掃除は自浄作用を障害し、病変の治癒を妨げる要因になります。

かやみとは“掻きたい行動を引き起こす不思議な感覚”であります。外耳道湿疹においては耳かきなどの掻くことによりかゆみが増しさらに掻いてしまう“かゆみの悪循環”に陥っています。

治療としては、耳かきがかゆみの原因になっていることを理解し、触りすぎないように心がける必要があります。ストレスもかゆみ悪化の一因となる可能性があり、心理的なアプローチが必要になることもあります。

局所処置として清拭をおこない薬物を塗布します。清拭の際に生理食塩水で洗浄処置をすることもあります。薬剤としてはステロイドの外耳道局所への使用や、細菌感染の関与認める場合は抗菌薬を、真菌感染の関与を認める場合は抗真菌薬を使用します。かゆみ対策として抗アレルギー薬を内服することもあります。

耳そうじは月に数回で十分です。耳そうじを、毎日や週に数回行う必要はありません。ほどほどがよいです。また奥までそうじする必要はありません。耳垢ができるのは、外耳道外側3分の1程度の深さです。

お子さんも外耳道湿疹による耳のかゆみで受診されるケースも増えていると思います。家族みんなで耳かきについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。