妊娠中はホルモンの関係で鼻の粘膜に影響を与え、鼻閉を中心とした鼻症状の悪化を認めることが知られています。20歳から40歳台のスギ花粉症の罹患率は46.8~47.5%との報告があり、妊婦さんがスギ花粉でつらい思いをすることは珍しいことではありません。
セルフケアとして花粉情報を参考に花粉飛散が多い日は不要な外出を控え、外出後は衣服や髪を払い室内に持ち込む花粉量も最小限にしてください。晴れて気温が高い日、乾燥して強風の日、雨上がりの翌日は花粉飛散が多いと言われています。マスクは花粉暴露数を約1/3~1/6に減らすと言われています。蒸しタオルや入浴などは鼻閉に効果的です。ひさしのある帽子も花粉性結膜炎の予防に効果があります。
薬物治療は妊娠2~4か月は催奇形性が問題になり、5か月を過ぎると薬剤による奇形の問題はほぼなくなってきますが、薬物が胎盤を通過して胎児に影響を与える胎児毒性を考慮しなければいけません。安易な投薬を避け胎児への影響を考慮して慎重な治療が必要になります。
妊娠による鼻症状の悪化に加えて、今まで行っていた薬物治療も胎児への影響を考えなければいけません。まずは今まで以上に十分なセルフケアを心がけてください。それでも花粉症状がつらい、日常生活への影響が大きい場合はご相談ください。