当院で診療する耳のおもな病気についてご説明します。
掲載している病気以外も診療いたします。耳の調子が悪い、痛いなどお困りごとがございましたら、お気軽に受診ください。
外耳道炎
外耳道皮膚の急性感染症です。
耳の痛み、耳だれなどの症状が多く、耳のつまった感じ、聞こえにくいなどの症状がでることもあります。
抗菌薬の点耳や内服、鎮痛剤の内服、ステロイドの点耳などをおこないます。
耳かきは症状悪化させるため禁止です。
外耳道湿疹
耳のかゆみ(痛がゆい)、耳だれなどの症状があります。
かゆいため耳を掻き、掻くことでさらにかゆくなる「悪循環」に陥っている場合も多くみられます。
- 原因
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- 原因不明
- 内因性:アレルギー素因(アトピー性皮膚炎)など
- 外因性:頻回の耳掃除、シャンプー刺激、耳栓、イヤホンなど
治療はステロイド軟こう(抗菌薬含む場合もあります)抗アレルギー剤、耳洗浄などをおこないます。外耳道深部や鼓膜まで炎症が波及した場合は点耳薬を使用することもあります。
耳かきは症状悪化させるため禁止です。
中耳炎
急性中耳炎
小児では3歳までに50~70%の小児が少なくとも一回は急性中耳炎になり、46%では3歳までに3回以上急性中耳炎を反復すると言われており、小児の感染症で最も頻度の高い疾患の一つです。
感染の経路は鼻やのどの感染が耳管を通じて発症します。
症状としては耳の痛み、発熱 不機嫌に泣くなどが多く、耳だれを認めることもあります。耳の痛みを訴えるこどもは約60%といわれおり、急性中耳炎の最も参考になる症状と考えられます。逆を言えば約40%のこどもは耳の痛みを訴えないため知らない間に中耳炎になっていることもあります。
治療は内服治療や鼻水の吸引処置などをおこないます。高熱や炎症が強い場合や鼓膜切開を行うこともあります。
中耳炎の重症度や原因となった菌によって使用する抗菌薬が異なってくることがあります。お子さんにあった治療が必要になります。
反復性中耳炎
過去6か月以内に3回以上、12か月以内に4回以上急性中耳炎になった場合反復性中耳炎と言われます。反復性中耳炎の多くは免疫能が発育途上にある2歳児未満です。
- 原因として
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- 子供の免疫能の未熟さ
- 集団保育
- 薬剤耐性化
治療は適切な中耳炎治療の他に、児の環境改善などが必要になることもあります。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎とは中耳腔に貯留液があり、難聴の原因になりますが耳の痛みや発熱のない中耳炎です。
滲出性中耳炎は就学前に90%が一度は罹患しますがほとんどが3か月以内に自然治癒します。しかし30~40%は再発し、5~10%は治癒までに1年以上かかるといわれています。
急性中耳炎のような痛みなどを伴わないため難聴があるにも関わらず気づかれないことも多い疾患です。難聴が持続すると言葉の発達への影響や集団生活に支障をきたす可能性もあり注意が必要です。
- 滲出性中耳炎を悪化させる要因として
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- 鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の関与
- アデノイド肥大の影響
- 低年齢
- 治療は
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- 薬物治療
- 鼻吸引やネブライザーなどの局所処置、通気療法
突発性難聴
突然に発症した内耳に起因した原因不明の急性感音難聴を突発性難聴と呼びます。
治療はステロイドや循環改善剤、ビタミン剤などを使用します。
急性低音障害型感音難聴
突然に発症し低音域のみに限定された急性感音難聴を急性低音障害型感音難聴と呼びます。多くの場合は原因が不明ですがメニエール病に移行することもあります。
若年女性に好発すると言われています。
治療はステロイドや循環改善剤、ビタミン剤などに加えて利尿剤を使用することもあります。
良性発作性頭位めまい症
- 最も頻度の高いめまい疾患
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- 上や下を向いたとき、寝返り、寝たり起きたりするときの数秒から1分程度のめまい
- 難聴、耳なり、耳閉感を伴わない
- じっとしているときにめまいはおこらない
- 高齢の女性に多い
治療は内服治療や浮遊耳石置換法などがあります。
メニエール病
- 難聴、耳鳴、耳閉感などを伴っためまい発作を反復する。
- 持続時間は10分程度から数時間程度である。
- めまい発作の回数は週数回の高頻度から年数回程度まで多様である。
などの症状があります。
治療は抗めまい薬、制吐剤、補液などをおこないます。めまいによる不安が強い場合は抗不安薬などを用いることもあります。
前庭神経炎
- 突然の激しいめまいが1日~数日持続。その後、慢性の平衡障害が持続する
- 感冒が先行することがあるが必ずではない
- 回転性めまいが多く、強い悪心、嘔吐を伴うことが多い
- 難聴、耳なり、耳閉感などを伴わない
などの症状があります。
治療は抗めまい薬、制吐剤、補液などをおこないます。ステロイドを併用することもあります。